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クライミング界に5.15dルートが5本。なぜ1本も再登されていないのか?

Climbing Now Has Five 5.15d Routes. Why Haven’t Any Been Repeated?

5.15dルートの現状と未完の挑戦
スポーツクライミングの世界では、最高難度とされる5.15d(9c)グレードのルートが現在5本存在するとされています。しかし、これらのルートは未だに誰もリピート(再登)できておらず、その難易度と真価が問われています。2023年3月13日、スペインのクライマーであるホルヘ・ディアス=ルージョは、4年間のプロジェクトであったマルガレフの「カフェ・コロンビア」を完登し、自身で5.15dとグレーディングしました。これは世界で6番目に5.15dと提案されたルートとなります。しかし、アレックス・メゴスが提案した「ビブリオグラフィー」は、2021年にステファノ・ギソルフィによってリピートされた後、5.15c(9b+)にダウングレードされた経緯があります。この事例は、最高難度ルートのグレーディングが非常に主観的であり、リピートによってその真の難易度が確定するという現状を示しています。

最高難度ルートの歴史とリピートの重要性
5.15dというグレードは、2017年にアダム・オンドラがノルウェーのフラタンゲルにある「サイレンス」を初登した際に初めて提案されました。その後、ヤコブ・シューベルトがオーストリアのツァンタールにある「B.I.G.」を、ステファノ・ギソルフィがイタリアのアルコにある「エクスプロージョン」を、そしてセバスチャン・ブイインがフランスのセウーズにある「DNA」をそれぞれ5.15dとグレーディングしました。これらのルートは、いずれも初登者以外によるリピートが成功していません。クライミング界では、ルートのグレードは複数のクライマーによるリピートによって確認され、確立されるという慣習があります。特に最高難度のルートにおいては、初登者の主観的な評価だけでなく、異なるクライマーが同じルートを登り、その難易度を検証することが不可欠です。リピートがなければ、そのルートの真の難易度はあくまで初登者の意見に留まり、客観的な評価ができません。この状況は、クライミングの限界を押し広げようとする挑戦と、その成果を客観的に評価する難しさという、スポーツクライミングが抱える課題を浮き彫りにしています。

今後の展望とクライミング界への影響
現在、5.15dとされている5本のルート(サイレンス、B.I.G.、エクスプロージョン、DNA、カフェ・コロンビア)は、いずれもリピートを待つ状態です。これらのルートがリピートされ、そのグレードが確定することで、スポーツクライミングの難易度スケールはさらに明確になり、次なる限界への挑戦が加速するでしょう。リピートの成功は、初登者の偉業を再確認するだけでなく、そのルートが持つ真の難しさ、そしてそれを乗り越えるための新たな技術やトレーニング方法の発見にも繋がります。また、リピートが成功しない場合でも、そのルートが持つ特異なムーブや体格的な要求が明らかになり、クライミングの多様性を理解する上で重要な情報となります。これらの最高難度ルートへの挑戦は、クライミングギアの進化やトレーニング理論の発展にも寄与し、スポーツクライミング全体のレベル向上に貢献すると期待されます。
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