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オークフラットを巡る新たな訴訟:アパッチ族の「システィーナ礼拝堂」と数千のクライミングルートの行方

New lawsuit in battle for Oak Flat, “Sistine Chapel of Apache religion” and home to thousands of climbs

オークフラットを巡る新たな訴訟:先住民の聖地とクライミングエリアの未来

アリゾナ州のオークフラット(Chi'chil Bildagoteel)を巡り、新たな訴訟が提起されました。この地域は、アパッチ族にとって「アパッチ宗教のシスティーナ礼拝堂」と称される聖地であり、同時に数千もの世界クラスのクライミングルートが存在する場所として知られています。今回の訴訟は、先住民の権利、環境保護、そしてクライミングアクセスという複数の側面から、大きな注目を集めています。

この紛争の中心にあるのは、リオ・ティントとBHPビリトンの合弁事業であるレゾリューション・カッパー・マイニング社による銅鉱山開発計画です。同社は、オークフラットの地下に埋蔵されている世界最大級の未開発銅鉱床を採掘する計画を進めています。この計画が実行されれば、地下の鉱石を採掘した後に地表が陥没する「サブサイデンス」と呼ばれる現象が発生し、オークフラットの景観や生態系に壊滅的な影響を与える可能性があります。特に、数千ものボルダリング課題が失われる可能性が高いとされていますが、ロープクライミングのアクセスについては、大部分が維持される見込みであると報じられています。

先住民、環境保護主義者、クライマーの共同戦線

今回の訴訟は、アパッチ族をはじめとする先住民コミュニティ、環境保護団体、そしてクライマーコミュニティが連携して、オークフラットの保護を訴えるものです。先住民にとって、オークフラットは単なる土地ではなく、祖先の魂が宿る聖地であり、精神的な拠り所です。彼らは、この土地での儀式や伝統的な慣習が、鉱山開発によって破壊されることを深く懸念しています。環境保護団体は、この地域の豊かな生物多様性や貴重な生態系が、鉱山開発によって失われることを指摘し、環境アセスメントの不十分さを訴えています。クライマーコミュニティもまた、世界的に評価されるクライミングエリアが失われることに危機感を抱き、アクセス維持と環境保護を求めています。

これまでの経緯として、2014年には、国防権限法(NDAA)の修正条項として、オークフラットの土地がレゾリューション・カッパー・マイニング社に譲渡されることが決定されました。この決定は、先住民コミュニティや環境保護団体から強い反発を受け、以降、土地の譲渡を阻止するための法廷闘争が続いています。今回の新たな訴訟は、この長きにわたる闘争の最新の展開であり、今後の判決が、先住民の権利、環境保護、そしてアウトドアスポーツの未来に大きな影響を与えることは間違いありません。オークフラットの行方は、単なる一地域の問題に留まらず、同様の紛争を抱える世界各地の先住民コミュニティや環境保護運動にとっても、重要な判例となる可能性を秘めています。
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