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アルプスガイドの新たな専門職「鑑定士」が誕生

Nasce un nuovo lavoro: il perito delle Guide Alpine

山岳事故における専門家不足と新職種「山岳ガイド鑑定士」の誕生
近年、山岳地帯への訪問者数が増加し、活動内容も多様化しています。これに伴い、山岳事故の発生件数も増加しており、その責任の所在を司法の場で明確にする必要性が高まっています。しかし、山岳事故に関連する司法手続きにおいて、裁判所が任命する技術コンサルタントが必ずしも山岳環境に関する専門知識を有していないという問題が指摘されていました。この専門知識の欠如は、事故の評価や責任の判断に不正確さをもたらす可能性があり、司法プロセスの信頼性を損なう恐れがありました。

この課題に対応するため、イタリアのヴァッレ・ダオスタ州では、山岳ガイドの専門知識を司法の場に活用する新たな取り組みが始まりました。2023年11月24日、ヴァッレ・ダオスタ州の山岳ガイド協会とヴァッレ・ダオスタ大学が協力し、新職種「山岳ガイド鑑定士(perito delle Guide Alpine)」を創設しました。この職種は、山岳ガイドが持つ実践的な経験と専門知識を、山岳事故の調査や鑑定に役立てることを目的としています。具体的には、山岳ガイドが司法鑑定人として、事故現場の状況、気象条件、ルートの難易度、ガイドの行動規範など、多岐にわたる要素を専門的な視点から評価し、裁判所に客観的な情報を提供します。これにより、山岳事故に関する司法判断の精度と公平性を向上させることが期待されています。

「山岳ガイド鑑定士」の役割と資格要件
「山岳ガイド鑑定士」は、山岳環境における事故調査において、その専門知識と経験を活かし、客観的かつ科学的な鑑定を行う役割を担います。この職種に就くためには、まず国際山岳ガイド連盟(UIAGM)が認定する山岳ガイドの資格を有していることが必須条件となります。さらに、ヴァッレ・ダオスタ大学が提供する特定の研修プログラムを修了する必要があります。この研修プログラムは、法医学、事故調査手法、報告書作成、証言技術など、司法鑑定人として必要な知識とスキルを習得することを目的としています。研修期間は合計20時間で、座学と実践的な演習が組み合わされています。研修を修了し、試験に合格した者は、「山岳ガイド鑑定士」として正式に登録され、裁判所からの依頼に応じて鑑定業務を行うことができるようになります。

この新しい資格制度は、山岳事故における責任の所在を明確にするだけでなく、山岳ガイドの専門性を社会的に認知させ、その役割を拡大する意義も持っています。山岳ガイドは、単に登山者を案内するだけでなく、山岳環境におけるリスク管理や安全確保に関する高度な知識と技術を持つ専門家として、司法の場においてもその価値を発揮することが期待されています。この取り組みは、他の山岳地域や国々においても、同様の制度導入を検討するきっかけとなる可能性を秘めています。
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