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登山・ハイキング
Mark Horrell 🇬🇧

K2登山に関するアメリカの暴露本2選

The two great American kiss-and-tell K2 mountaineering books

K2登山文学における人間ドラマの変遷
1970年代の登山文学において、高所登山における主要な苦難が、凍傷や低酸素症といった身体的なものから、人間関係の軋轢や鬱積した不満へと変化し始めたと、モーリス・イッサーマンとスチュワート・ウィーバーは著書『Fallen Giants』で指摘している。特にK2の斜面は1970年代初頭まで比較的未踏のままであり、1902年のイギリス隊による初挑戦以来、登頂を試みた遠征隊の数は限られていた。この時期、アキッレ・コンパニョーニとリノ・ラチェデッリの2名のみが登頂に成功していたが、その後のK2登山は、身体的挑戦だけでなく、隊員間の複雑な人間関係が浮き彫りになる舞台となっていった。

1978年アメリカ隊K2遠征の舞台裏
1978年のアメリカK2遠征は、その後のK2登山文学に大きな影響を与えることになる。この遠征は、ジム・ウィテカーが率いる大規模なもので、アメリカ人によるK2初登頂を目指すものだった。遠征隊は、当時としては革新的な「アルパインスタイル」と「固定ロープとキャンプ設営」を組み合わせた戦略を採用し、北東稜からの登頂を目指した。しかし、遠征中には、隊員間の意見の相違、リーダーシップを巡る対立、そして個人的な野心といった人間的な要素が複雑に絡み合った。特に、ジョン・ロスケリーとジム・ウィテカーの間には、登頂ルートや戦略に関して深い意見の隔たりがあったことが、後の書籍で詳細に語られている。最終的に、ルイス・レイチャードとジム・ウィックワイヤーがK2登頂に成功したが、その過程で生じた人間ドラマは、登山史における重要な転換点として記憶されることとなる。

K2登山を巡る「暴露本」の登場
1978年のアメリカK2遠征後、この遠征の内幕を暴露する2冊の書籍が出版された。1冊はジム・ウィックワイヤーによる『K2: The Savage Mountain』であり、もう1冊はジョン・ロスケリーによる『K2: The Mountain of Mountains』である。これらの書籍は、遠征中に生じた隊員間の対立、裏切り、そして個人的な感情を赤裸々に描いたもので、当時の登山界に大きな衝撃を与えた。ウィックワイヤーの著書は、登頂の成功とそれに至るまでの苦難を、比較的客観的な視点から描いている一方で、ロスケリーの著書は、遠征隊のリーダーシップに対する批判や、自身の経験に基づいた主観的な視点が強く反映されている。これらの「暴露本」は、K2登山が単なる身体的挑戦ではなく、人間の心理や社会的な側面が深く関わる複雑な営みであることを浮き彫りにし、その後の登山文学に新たな潮流を生み出した。
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